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LINEのAIチャットを人へ引き継ぐ設計|相談を置き去りにしない条件と確認手順

小川 靖人文・小川 靖人元LINE社員・LIFE合同会社 代表
この記事の執筆者:元LINE株式会社でLINE公式アカウント活用支援チームの立ち上げを推進し、LINE Green Badge試験問題の作成にも関与。バディカダイレクト元COOとしてLINE中心の販売基盤を構築し、AI接客チャットボット「中野愛作」を開発。詳しいプロフィール →
#LINE公式アカウント#AIチャットボット#有人対応#問い合わせ

この記事の結論

AIが答えられないLINEの相談を、人へ引き継ぐには何を決めるべきか。切り替え条件、受付の一報、担当の受け取り、会話の引き継ぎ、二重返信のテストを解説します。

最終更新:2026年10月6日

AIから人へ引き継ぐには、「担当者へ通知した」で終わらせず、誰かが相談を引き受け、必要な情報を確認し、返信するまでを設計します。お客さんには、今の状態と次に何が起きるかを伝えます。人への切り替えボタンがあっても、担当が不在ならその場で有人対応が始まるわけではありません。

AIを使う目的は、相談する人を窓口から遠ざけることではないはずです。自動化率を上げる前に、答えが見つからないとき、説明が食い違うとき、人に相談したいときに、話を続けられるかを確認してください。

切り替え条件は、お客さんの希望と業務の判断で決める

「AIの自信が低いとき」だけを条件にすると、本人が人との会話を求めているのに自動回答が続く場合があります。AIの出力とは別に、次のような条件を設けます。

条件の例人へ渡す理由受付で伝えること
本人が担当者との会話を希望希望する窓口を選べるようにする受付時間、次の連絡方法
個別の注文・契約の判断が必要一般情報だけでは決定できない確認する事項、追加情報の範囲
同じ質問で解決しない同じ回答の繰り返しを止めるこれまでの質問を引き継ぐこと
根拠を確認できない・説明が矛盾未確認の回答を続けない確認後に案内すること

何回で切り替えるか、どの相談をAIで扱わないかは、対象業務で決める運用条件です。特定の回数がすべての窓口に適しているわけではありません。切り替え後に連絡できる人がいるかも合わせて確認します。

引き継ぎを四つの状態に分ける

設計上は、少なくとも次の状態を区別すると、どこで相談が止まったかを把握できます。標準LINEの画面項目をそのまま示すものではなく、利用する仕組みに実装・設定する際の整理です。

  1. 受付済み:AIで回答を続けず、人が確認する相談として記録した
  2. 担当待ち:通知したが、まだ誰も引き受けていない
  3. 担当対応中:担当が引き受け、確認や返信を進めている
  4. 対応終了:必要な回答と作業が終わった

「通知が成功した」と「担当が受け取った」は別の記録にします。通知先が休みだった場合や、複数人が同時に開いた場合も試してください。担当が決まらない相談は、定めた時間や条件で代替担当へ渡せるようにします。時間の基準は、自社で実際に対応できる範囲に合わせます。

AIから人へ渡す流れ。切り替えを受け付ける:人への相談希望を残す。担当の引き受けを待つ:通知だけで完了にしない。人が対応する:AIとの二重返信を防ぐ。対応を終える:次の状態を決めて記録。

図:AIから人へ渡す流れ。細かな条件と例外は、本文で確認してください。

人が見ても、もう一度すべて説明させない

担当には、元の会話を確認できる場所と、要点を渡します。要点では、本人が求めたこと、確認済みの情報、AIが回答したこと、未解決のことを分けます。

AIが要約する場合は、元の会話を参照できるようにして、推測を事実へ変えないことを確認します。「返金を希望した」と「返金できる」は全く違います。AIが誤った回答をした場合、その回答も担当が確認して、必要な訂正を案内できることが大切です。

顧客の照合には確認済みのIDを使い、似た表示名の人の履歴を渡さないでください。また、引き継ぎ用の記録に、不要な個人情報や別案件の会話を含めないようにします。顧客と会話の紐づけは、CRMのデータ設計で事前に整理できます。

人の返信とAIの返信が重ならないようにする

有人対応中もAIが自動回答を続けると、担当と異なる説明が届く可能性があります。引き継ぎを受け付けた時点で何を止めるか、人が受け取るまで受付案内を返すか、対応終了後に自動回答へ戻すかを決めます。

LINE公式アカウント側の応答設定と、外部のAI・CRM側の処理は別に確認してください。公式のチャットマニュアルで標準のチャット操作を確認できても、外部AIの停止や担当者への割り当てまで自動で保証されるわけではありません。

通知を追加するだけでなく、返信を送る直前に現在の担当・状態を確認できる設計にすると、途中で担当が替わった相談への古い回答を防ぎやすくなります。採用するツールでどこまで制御できるかを、契約・実装前に確認してください。

営業時間外は、実際にできることを伝える

人がいない時間に「担当者がすぐ回答します」と表示するのは避けます。相談を受け付けることと、担当が対応を開始することを分け、受付時間や別の連絡方法を案内します。

AIを人間の担当者のように名乗らせる必要もありません。自動の案内であることが分かる表現にしたうえで、「ここでは確定できないため、担当が確認します」と伝えれば、未確認の説明を続けずに済みます。提供していない24時間の有人対応を、切り替え機能の紹介に含めないでください。

公開前に、五つの相談を最後まで通す

検証では、実際のお客さんの会話を転記せず、架空の相談で次の場面を試します。

  • 最初から人に相談したいと言う
  • AIの回答で解決せず、同じ質問を続ける
  • 誤った回答のあとで担当へ切り替える
  • 時間外に切り替え、受付案内のあとで担当が引き受ける
  • 人が返信している間に、新しいメッセージを送る

各場面で、相談が一覧へ残るか、担当が決まるか、元の会話を読めるか、二重返信がないか、お客さんへの返答が終わるかを確認します。切り替え回数だけでは、引き継ぎの成功は分かりません。担当が引き受けるまでの時間と、切り替え後にも未解決のまま残った相談を別に見ます。

AIが答えられる範囲の整理は、RAGを使うLINEチャットボットの考え方にあります。ここで先に完成させたいのは、AIで止まった会話の続きを、人が引き受けられる流れです。

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